テクニカル分析の基本の移動平均線は一定期間の価格を平滑化したものを表しています。
株式を売買する手法として1920年代には存在したと言われていますが、アメリカのジョセフ・E・グランビル(Joseph E Granville)氏が1960年に『A strategy of daily stock market timing for maximum profit』を出版すると多くの人に伝わりました。洋書ですがAmazonで手に入ります。
日本語訳の書籍は『グランビルの投資法則―株価変動を最大に活用する戦略 (1962年)』がありますが、入手困難な書籍です。
日本の移動平均線の歴史では昭和10年代に『からみ足』と呼ばれる手法でごく一部の人に使われていました。
移動平均線の使い方
トレーダーの多くが使う移動平均線の期間が50日と200日が多くて、次に10日、20日、100日になります。
フィボナッチ数列の3日、5日、8日、13日、21日、34日、55日、89日、144日、233日、377日から選んで使うトレーダーもいます。
使う人が多いほど相場の動きに影響を及ぼすので常に意識をしたい期間です。
短期の移動平均線は短期投資に向いていて長期の移動平均線は長期投資に向いています。
価格が大きく移動平均線より離れている状態はトレンドが発生している可能性があります。
50日の移動平均線(SMA)を表示した5分足チャートです。移動平均線より大きく価格が離れていてトレンドが発生して相場に勢いがあります。
移動平均線のゴールデンクロスとデットクロス
SMAは50日と200日に設定しています。
緑色の丸の部分の線がクロスしてゴールデンクロスになっています。
赤色の丸の部分の線がクロスしてデットクロスになっています。
騙しになりやすいデットクロスの形状
長期の移動平均線が下向きの状態でクロスをしたほうがデットクロスの確度が高くなります。
上記のチャートでは、水平に近い状態です。
4本の移動平均線でパーフェクトオーダーを確認する
茶色の線が200日、青色の線が89日、緑の線が21日、オレンジの線が13日になっています。
緑の垂直線の部分がパーフェクトオーダーで期間の短い線から長い線まで順番に並んでいます。
赤色の垂直線の部分もパーフェクトオーダーで線の期間の並び方が逆順です。
グランビルの法則:移動平均線からエントリーのタイミングを見極める
投資手法として有名なグランビルの法則です。相場と移動平均線が上昇中で移動平均線付近で反転したらロングでトレードします。
逆に移動平均線が下向きになってトレンドが反転したら移動平均線付近でショートに切り替えます。
スキャルピングの移動平均線の期間設定
スキャルピング向きと言われている期間はフィボナッチ数列の5日、8日、13日の3本のEMA(Exponential Moving Average)指数平滑移動平均線が良いと思います。
5日、8日、13日の3本のEMAを5分足で表示しています。
8日SMA、13日SMAがクロスした時や8日SMAの反発時を狙います。
移動平均線を19種類紹介
移動平均線はSMAやEMAが主流ですが、主流の移動平均線の欠点を改善したものや相場への反応速度を良くしたものなどがあります。
19種類の移動平均線を簡単に説明しています。
単純移動平均 (SMA)
投資家に一般的によく使われている平均線になっていて、ジョセフ・グランビル(Joseph Granville)が1960年代に発表しました。
一定期間の終値の平均値を計算しています。
TradingViewのインジケーターで『SMA』と検索すると公式のものが見つかります。
指数平滑移動平均線 (EMA)
SMA(単純移動平均線)と比較して最近の相場の動きに敏感に反応する移動平均線です。
指数平滑移動平均線 (EMA)はSMA(単純移動平均線)と動きが近いですが、最近の価格変動に大きな重みを与えるようになっていて早くトレンドに反応します。
TradingViewのインジケーターで『EMA』と検索すると公式のものが見つかります。
二重指数移動平均 (DEMA)
パトリック・マロイ氏(Patrick Mulloy)が1994年2月の雑誌『Technical Analysis of Stocks & Commodities』で公表した移動平均線で時間的な遅れ無くして感度が良くなるようになっています。
単純移動平均(MA)と2つの指数移動平均(EMA)を利用することで、EMAよりも早くトレンドを見つけることができます。
TradingViewのインジケーターで『DEMA』と検索すると公式のものが見つかります。
三重指数移動平均線(TEMA)
DEMAを開発したパトリック・マロイ氏(Patrick Mulloy)が雑誌『Technical Analysis of Stocks & Commodities』で公表した移動平均線でEMAやDEMAよりも反応が良く短期取引に向いています。
TradingViewのインジケーターで『TEMA』と検索すると公式のものが見つかります。
ワイルダー移動平均線 (WILDER'S)
RSIの開発者でもあるJ.Wワイルダー氏の移動平均線です。1978 年の著書「New Concepts In Technical Trading Systems」で発表しました。
相場への反応速度は指数平滑移動平均線 (EMA)より少し遅く、単純移動平均 (SMA)よりは速いです。
TradingViewのインジケーターで『WILDER'S Moving Average by fr3762 KIVANC』と検索するとコミュニティ・スクリプト内で見つかります。
加重移動平均 (WMA)
この移動平均線の特徴として最近の価格に重みを付けて過去の価格の影響が少なくなるようになっています。
トレンドを速く見つけれるようになっていて、EMAよりも反応が良いです。
TradingViewのインジケーターで『WMA』と検索すると公式のものが見つかります。
複合型移動平均線(GMMA)
オーストラリアのダリル・カッピー(Daryl Guppy)が開発した手法です。
短期移動平均線6本と長期移動平均線6本の計12本の移動平均で構成されています。
短期のグループ線が長期のグループ線を上にクロスすると相場の上昇トレンドが発生する可能性があります。
逆に長期のグループ線を短期のグループ線が上から下に抜けると下降トレンドが発生する可能性があります。
線が水平で線の間隔も狭い時にはトレンドが無く、線の間隔が開いて上昇または下降している時にはトレンドの兆候があります。
TradingViewのインジケーターで『GMMA』と検索するとコミュニティ・スクリプト内で見つかります。
最小二乗移動平均線 (LSMA)
一定期間の価格をもとにした線形回帰を使用した移動平均線です。単純移動平均(MA)や指数平滑移動平均線 (EMA)の代わりに利用できて
トレンドや反転のポイントを見つけることができます。
TradingViewのインジケーターで『LSMA』と検索すると公式のものが見つかります。
線形加重移動平均線(LWMA)
単純移動平均 (SMA)や指数平滑移動平均線 (EMA)よりも最近の価格を重視するように調整した移動平均線です。
過去に遡るにつれて価格の重みは少なくなります。
TradingViewのインジケーターで『LWMA』と検索するとコミュニティ・スクリプト内で見つかります。
修正移動平均(MMA)、ランニング移動平均(RMA)、平滑移動平均 (SMMA)
いろいろな呼ばれ方がある移動平均線で単純移動平均 (SMA)と似ている部分があります。
最初はSMAで計算になっていて次の価格は最初に新しい価格を追加して計算します。
次に結果の合計から最後の平均を引きます。
TradingViewのインジケーターで『SMMA』と検索すると公式のものが見つかります。
アルノー・ルグー移動平均線(ALMA)
2009年にArnaud Legoux氏とDimitrios Kouzis Loukas氏が開発した移動平均線です。
騙しが少なくなるようにノイズを減らすようになっていて相場への反応も他の移動平均線よりも良くなっています。
標準偏差やガウスフィルターの概念が適用されています。
一般的にトレンドから利益を得る中長期投資に利用されています。
TradingViewのインジケーターで『ALMA』と検索すると公式のものが見つかります。
フラクタル適応移動平均 (FRAMA)
ジョン・エラーズ氏(John Ehlers)によって開発された移動平均線です。
市場価格がフラクタルであるという仮定で、平滑化係数の計算にフラクタル次元が利用されています。
TradingViewのインジケーターで『FRAMA』と検索するとコミュニティ・スクリプト内で見つかります。
出来高加重移動平均 (VWMA)
移動平均線に出来高の計算も取り入れた移動平均線です。
出来高が増えると移動平均線の動きも大きくなります。
TradingViewのインジケーターで『Volume Weighted Moving Average』と検索すると公式のものが見つかります。
ハル移動平均 (HMA)
オーストラリアのアラン・ハル氏(Alan Hull)が2005年に開発した移動平均線です。
移動平均線の延滞が少なくなった滑らかな曲線で騙しも少なくなっています。
アラン・ハル氏は「遅れを、ほぼ完全になくし、同時に平滑化を向上させることに成功した。」と述べています。
TradingViewのインジケーターで『HMA』と検索すると公式のものが見つかります。
カウフマンの適応移動平均 (KAMA)、適応型移動平均(Adaptive Moving Average、AMA)
ペリー・カウフマン氏( Perry Kaufman)が1998年に著書「Smarter Trading」で公開した手法になります。
指数移動平均 (EMA)ベースになっていてトレンドやボラティリティに反応するように計算されていて一時的な急騰、急落のノイズを減らす動きをします。
TradingViewのインジケーターで『Adaptive Moving Average』または『KAMA』と検索するとコミュニティ・スクリプト内で見つかります。
変動指数動的平均 (VIDYA)
EMA(指数移動平均)と類似した動きをする移動平均線でTushar Chande氏によって開発されました。
計算に標準偏差を利用しています。EMAよりもトレンド変化に強くボラティリティが少ない時には水平になりやすいです。
TradingViewのインジケーターで『VIDYA』と検索するとコミュニティ・スクリプト内で見つかります。
T3移動平均線
ティム・ティルソン氏(Tim Tillson)が開発した基本的な移動平均線を3回平滑化したものですので滑らかになっています。
TradingViewのインジケーターで『T3 Moving Average』と検索するとコミュニティ・スクリプト内で見つかります。
カルマンフィルター(Kalman Filter)
カーナビのGPSの誤差を修正して進路を予測しているカルマンフィルターを相場に適用した移動平均線です。
移動平均線の誤差を修正して未来の位置を予測して移動平均平滑化よりも優れた効果があるとも言われています。
TradingViewのインジケーターで『Kalman Filter』と検索するとコミュニティ・スクリプト内で見つかります。
Jurik Moving Average(JMA)
Mark Jurik氏が1998 年に開発した移動平均線です。
他の移動平均線よりもノイズを減らして素早く分析できるように計算されています。
TradingViewのインジケーターで『Jurik Moving Average』と検索するとコミュニティ・スクリプト内で見つかります。
TradingViewのPremiumプランは秒足やインジケーター25個同時利用可能。無料プランから有料アップグレードで最大30ドル分の特典が、こちらから貰えます。30日間のPremiumプランお試しも可能です。